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市長随筆集その4(第151話以降)

第202話 -油断せずに冷静に- 平成24年5月1日

  4月3日、テレビ、ラジオは朝から異常気象の発生に警告を発していました。
日本海を通過中の低気圧が、南からの暖気の流れ込みによって台風並に発達し、暴風雨が予測されるとのことでした。関東地方も夕方から夜にかけて風速25m、強い雨の恐れもあるので、午後からの外出は極力避けるようにという、通常の気象情報としては珍しく踏み込んだものでした。                                                                                                             入間市では日頃から、地域にポイントを絞った、より確かな情報を知る必要があると判断して、民間の気象ニュース社と契約を結んでいます。早速、周辺情報を確認したところ、風速10~15m、雨量は多くないということで少し安心しました。結果はニュース社の予測どおりで、大きな被害もなく治まったことは幸いでした。
 入間市でも自然災害の発生はありますが、災害史を遡(さかのぼ)っても甚大な被害の記録はありません。そのためか、『入間安全神話』を耳にすることがありますが、いつ、どこで、どんな災害が発生するかわからない時代ですから油断は禁物です。常に身の廻(まわ)りから、災害時に凶器となるようなものは排除して、非常の場合に備えていただきたいと思います。

第201話 -復興を進めるために- 平成24年4月1日

 東日本大震災から1年、改めて、命を奪われた方々へのお悔やみと、被災された皆様にお見舞い申し上げます。絶望と悲しみの中で過ごされたこの1年が、如何(いか)に長く苦しいものであったかを思うとき、お慰めの言葉を知りません。
 政府は復旧、復興の補正予算を組みましたが、その執行率は一ケタ台といわれています。特に公共工事は、地方自治体の職員不足で設計が遅れ、入札不調も影響して計画どおり進まず、加えて約2200万トンといわれる災害廃棄物(がれき)の処分先が決まらない深刻な問題も含め、今迄(まで)、何故解決の手立てが講じられなかったのか、国の調整能力に不安を感じます。
 「どうして入間市はがれき処分に手を上げないのか」という匿名投書をいただきましたが、政治、行政への不信が続く中で、多くの市民に納得いただくためには、国が安全性の確認と保証、情報開示、その説明責任を明確にしなければ、簡単に前には進みません。投書氏の思いも理解できますが、自治体の善意と正義に期待する手上げ方式ではなく、政府が先頭に立って「処分環境」を整え、地方自治体が安心して処分できるよう、早急に対処すべきと考えます。

                                                                         (3月6日記)

第200話 -200回の繰り言- 平成24年3月1日

  歩キ目デスも覚束(おぼつか)ない足取りながら歩み続けて、200回となりました。平均、年10回のペースで20年、いつまで書いているの、と辟易(へきえき)する市民の皆さんの顔の数々を思い浮かべながら、悪戦苦闘、拙い文を書き続けています。
 題名の「歩キ目デス」は、古代ギリシャの物理学者、数学者アルキメデスの事蹟(じせき)に、バランスのとれた市政運営への思いを重ね合わせ、名付けたことを懐かしく思い出します。
 話は変わりますが、先日放映されたフィギュアスケートの荒川静香選手の、インタビューでの一言が心に残っています。「生きている限りは成長を続けることができると思う」という、フィギュアに寄せる執念と自信に満ちた言葉です。これは功成(こうな)った一流選手の言葉というよりも、汗と涙を流しながら、困難を乗り越えようと努力している一人の人間としての、がんばる人々への応援歌のような気がします。
 無知なるが故の独善、無恥(むち)なるが故の傲岸不遜(ごうがんふそん)に気付くとき、自己嫌悪におちいることもありますが、歩キ目デスは、刺身のツマならぬ広報いるまのツマを自認しながら自己満足の愚かな姿をさらしていきたいと考えます。継続は力を信じて。

第199話 -祈りの国- 平成24年2月1日

 昨年の初日の出は、地平線から豪快に昇る初日で、平穏な1年と活力溢れる社会を連想させる感動的なものでした。しかし、その期待は東日本大震災によって打ち砕かれ、日本は今、苦難の道を歩んでいます。複雑な思いをもって迎えた今年の初日の出は、気象情報では雲が多く、初日の出を拝めるかどうかは微妙でした。
 明け方は雲一つない美しい星空でしたが、6時頃から急速に雲が広がり、東の空は黒雲のかかっている状態でした。桜山展望台での日の出時刻は6時52分でしたが、7時少し前に雲の切れ間から、ぎらぎらの太陽が顔を出す幸運に恵まれ、万歳三唱と穏やかな日々の続くことを祈りました。
 自然への思いは人それぞれですが、豊かな森や水、四季の移ろいなど自然大国と呼んでも過言ではない日本では、古代より森羅万象が祈りの対象でした。それは、単に我欲を満たすためということのみならず、自然への畏敬の念が祈りにつながっているものと思います。
 今年は震災復興元年となりますが、謙虚に自然と向き合い、自然からのメッセージを教訓として、強い意志をもって復興事業が進められることを祈ります。

第198話 -「絆」で暮れる 2011- 平成23年12月1日

激動の1年が間もなく暮れます。災害列島日本と言われますが、今年程、全国民が悲しみと鎮魂の思いを胸に刻み、自然の脅威を身近に感じた年はなかったように思います。東日本大震災、台風12号、15号などの大災害によって肉親、知人などを失い、家財を破壊された方が多くおられますが、残された方々は、忍耐と勇気、思いやりと冷静な行動で災禍を克服しようと頑張っておられます。
 東日本大震災では、東電福島第一原子力発電所の大事故が重なり、放射性物質の拡散などによって住処(すみか)を追われ、遠隔の地で苦しい避難生活を送っておられる方も多数おられます。しかし、全ての居場所で、笑顔を忘れず、慌てず騒がず、支援に感謝の言葉を述べる被災者の姿に、涙した方もおられるのではないかと思います。
 そのような中で、今年最も心に刻まれた一字漢字は「絆」だったと思います。細胞核(DNA)が家族を結びつけ、その家族が地域と自然に繋がって日本社会は発展してきました。最大不幸の中で日本人のルーツ「絆」が再認識されたことは、日本の未来に希望の光りを見た思いがします。心穏やかに越年されることを祈ります。

第197話 -狭山茶- 平成23年11月1日

   大地震が大津波を引き起こし、大津波が東電福島第一原子力発電所を破壊し、放射性物質拡散という大事故となって多くの人々を苦しめています。特に居住制限などによって、今もってふる里に帰れない方々も沢山おられます。と同時に、放射性セシウムの汚染によって、居住環境、食の安全等が脅かされ、関係者の苦悩はその極限に達しているのではないでしょうか。
 埼玉県内では、全国ブランドとも言える狭山茶が被害を受けており、ブランド崩壊が懸念されるほど深刻な事態になっています。緑茶は単に健康飲料としての効用のみならず、茶道に代表される文化的価値、緑のジュータンともいえる茶園の環境的貢献など、日本茶の果している社会的役割は、農産物の域を超えた存在となっています。入間市史はその歴史を「河越茶(狭山茶)が鎌倉、室町時代から生産され、全国銘園五場の一つ」と記述しています。
 「おれえら(俺たち)が悪いんじゃあねえ。誰が責任をとってくれるんだい」という生産者の悲痛な叫びをしっかりと受け止め、適正な検査による安全性の保証によって、消費者に愛される狭山茶にしなければならないと思います。

第196話 -夏去りぬ- 平成23年10月1日

今年の夏は、穏やかな夏であって欲しいと願い、経験したことのない目標管理の節電に不安を抱いた方は多かったと思います。昨年のような猛暑に襲われれば、命にも係る事態となり、経済活動への影響も避けられない節電でありましたが、暑さは厳しかったものの低温の日もあって、一息ついた方もおられたと思います。
 不安な夏も去って、一先(ひとま)ず節電は終りました。心配された大きなトラブルもなく、節電が確実に実行されたことで、日本人、日本企業の問題適応能力の高さが証明されました。と同時にこの経験は、日本人の過去のくらしが、いかに「ムダの多い生活」であったかを反省する機会ともなりました。
 今年も高齢者を中心に、熱中症患者は多く発生しましたが、ムリな節電の影響はなかったのかを検証し、来年に備えるべきと考えます。大震災の被災地では今なお多くの方々が苦しんでおられますが、復興の具体の議論も進みつつあります。「足るを知る者は富む」の老子の一節を心に刻みながら、日本の総力をあげて復興を成し遂げなければ、の思いを強くした夏でもありました。 
                                                            (平成23年9月9日記)

第195話 -選挙制度の危機- 平成23年9月1日

 7月31日、埼玉県知事選挙が行われました。下馬評通り、現職の圧勝に終わりましたが、その投票率は県平均24.89%で、知事選挙では全国の最低記録となりました。選挙は、民主主義を保障する最も重要な制度であり、投票率の低下が続くことは、由々しき事態と言わざるを得ません。
 選挙の一般的な傾向は、国政選挙より地方選挙、地方選挙でも、議員選挙より首長選挙の投票率が低いという流れは、以前から見受けられました。低投票率の原因は単純に分析することはできませんが、日本の政治行政制度のかたちが、県、特に知事と県(市)民の距離が離れていることにも一因があるのかも知れません。入間市の投票率は辛うじて県平均を上回り、24.95%でした。
 政治が混乱し、不信を増し、失望を生んで有権者の選挙離れを助長しているとすれば、政治に携わる者の大きな責任ですが、それと同時に、政治家に対し生殺与奪の権を握る有権者の冷静な投票行動もまた、問われなければなりません。候補者の訴えに耳を傾け、より良い選択に一票を托して、常に4人のうち3人は投票するという選挙が実現することを祈ります。

第194話 -先人の思いに学ぶ- 平成23年8月1日

  江戸は、長い戦乱の世を巧みに生き抜いた徳川家康が、江戸城(太田道灌築城)を居城として幕府を開いたことにより、一寒村から日本の中心都市になりました。そして、参勤交代という諸大名などの統治政策を進めたため、全国から有為の人材が多く集まり、地方の文化と江戸の風土が融合して、町人(江戸)文化が生まれました。
 主として、江戸後期以降この地を訪れた多くの外国人は、豊かな自然と清潔な町並、襤褸(ぼろ)をまといながらも、礼儀正しく親切で笑顔を絶やさない日本人とその国を「現在の世界に存在する唯一の極楽」と称えましたが、その後に「しかし、この素晴らしい社会は、自分たち(外国)の文明を取り入れることで崩壊してしまうだろう」と続けたと聞きました(「 」は東大・月尾嘉男名誉教授による)。
 言い得て妙とありますが、現代日本の姿をこれ程的確に指摘した言葉が、江戸時代にあったとは驚きです。今、日本の社会は「文明の光り」に酔い、日本人のDNA(農耕の民)を崩し、忍び寄る「文明のかげり」に、足を掬われているかにみえます。私達は、困難な問題に直面した時こそ、先人に学ぶ尊さを、子子孫孫に伝えていく責務があると思います。

第193話 -時は金なり- 平成23年7月1日

 3月11日に発災した東日本大震災は、原子力発電所の重大事故の誘発によってより多くの国民に混乱を与え、復旧、復興の妨げとなっています。そんな中で、復興等の検討会議が多く設置され、真剣な議論が続いていますが、戦後初めて経験した「国難」と言われる事態に異見も多く、その取りまとめに困難が予想されます。
 一方、季節の移ろいは早く、特に今年は観測史上2番目に早い梅雨入りの地域もあり、被災地の皆さんの苦しみが増すことが心配です。そして、復旧、復興の議論に徒らに時間を費やすことによって、震災に対する国民の思いが薄れ、義援金活動をはじめ復興財源の負担について、国民的合意の取り付けが難しくなることが懸念されます。
 国がしっかりとグランドデザインを描き、地方自治体と被災地住民が修正、肉付けができるなどの基本方針を1日も早く樹立し、被災者の安心を保証すべきと思います。1日のロスタイムは、被災者にとっては1年の遅れにも匹敵し、苛立ちと不安が募ることを関係者は肝に銘ずべきです。「時は金なり」の格言が、今ほど、実感として心に迫る時はありません。      (平成23.6.7記)

第192話 -新日本復興- 平成23年6月1日

  変化に富んだ大自然と、謙虚な民族の住む日本は、古くから東海の楽園と言われてきました。先人達は、日本の風土に学びつつ、狩猟採集、稲作農業、漁業など、自然を畏敬し、共存する中で、日本のかたちを作ってきました。その歴史は、幾多の困難と深刻な危機に直面しながら、それらを克服した日本人の知恵と汗に彩られています。
 東日本大震災は、多くの尊い命を奪い、家族、地域の絆をずたずたにして、今なお避難生活を余儀無くされている方も多くおられます。地震の発生海域の三陸沖は、過去何回も巨大地震と大津波を引き起こしています。地域の皆さんは、先人の生き様に学びながら、人知の及ぶ限りの備えをしてきましたが、自然の猛威はそれをはるかに超えて、甚大な被害をもたらしました。更に原発事故は天災と重なって、被災者に三重、四重の苦痛を与えています。
 間もなく樹立される震災復興計画は、オール日本の英知を結集して「新しい日本のかたち」にすることは勿論、自然がどんなに残忍、凶暴な姿を見せようと、孫子の代に、絶対に惨禍の苦しみを与えないという、強い意志の感ぜられるものであることを願います。       (5.10記)

第191話 -強まる絆- 平成23年5月1日

   入間市は、新潟県佐渡市、ドイツ連邦・ヴォルフラーツハウゼン市(ヴォ市)と姉妹都市の契約を結んで25年以上が経過しました。先日の東日本大震災発災直後、高野佐渡市長から心温まる見舞の電話をいただきました。またヴォ市では、フォルスター第1市長から電話、手紙での見舞をいただきました。
 その後入間市では、福島県いわき市民を中心として、最も多い時は 10世帯29人の方が避難所生活を送られましたが、佐渡市から緊急援助物資として佐渡米360kgが届けられました。一方ヴォ市からは、特に原発事故を大変憂慮され「もし入間の子ども達が避難するのであれば我が家に」という方々が600人もおられるからと連絡をいただきました。「チェルノブイリ事故」を経験したヨーロッパの人々は、日本の状況を非常に心配されているようです。救援の募金も始められたとのことでした。
 このように迅速に、不幸な災害を姉妹都市間の問題として共有できるということは、25年に及ぶ地道な交流の成果であり、大きな財産になっていることを実感します。「希望」の文字が輝きを増しています。ヴォ市の皆さん、佐渡市の皆さん、ありがとうございます。     (4月7日記)

第190話 -巨大地震 重なる大津波と原発事故- 平成23年4月1日

 3月11日、「東北地方太平洋沖地震」と命名されたマグニチュード9.0の巨大地震が発生し、同時に引き起された大津波が重なって、東北地方を中心に壊滅的打撃を与えています。連日報道される被災地の状況に言葉を失います。想像を絶するとか未曾有(みぞう)という形容詞がありますが、今回の災害は、それらの言葉が空空(そらぞら)しく感じられる程の衝撃を多くの人々に与えました。
 日本は地震列島と言われ、過去、大きな災害が数多く発生しましたが、その都度英知を結集して復興を果してきました。ただ、今後の復旧活動の重大な障害は、破損している福島第一原発の状況で、関係者の命がけの放射線封じ込め作戦が続けられています。その成功をひたすら祈るのみです。
 入間市でも、計画停電で発生する諸問題への対応、義援金募金活動等を展開し、それと同時に、避難場所を求める方々のため、避難所を開設し、受け入れを開始しました。市民の皆様には風評に踊らされることなく、正しい情報による行動をお願いいたします。
 今、日本国民にとって、三重苦とも言える最大の不幸を如何に克服し、次世代に安全な社会を引き継ぐかが問われています。犠牲となられた方々の鎮魂のためにも、成し遂げなければなりません。 (3月22日記)

第189話 -不老長寿の世界- 平成23年3月1日

 今年の冬は、太平洋側が記録的異常乾燥、日本海側は豪雪となって、火災の多発、除雪作業などによって、多くの方の命が失われています。特に深刻な問題は、これらの事故死者の過半数が、高齢者という現実です。
 有史以来人類は、「不老長寿」を悲願として世界を駆け巡り、争いを繰り返してきました。そして、現代の日本社会は世界に先駆けて「人生80年時代」を実現し、「90年」も夢ではないと言われています。そこで見えてきたものは、不老長寿が「心身ともに健康で長命を全うする」ことのみならず「病苦や生活不安を抱える者も長命を寿(ことほ)ぐこと」のできる社会が求められているということです。これを総括すれば、日本人の悲願は「老後の絶対的安心」にあると言うことではないでしょうか。
 しかし、このことは、言うは易(やす)く、個人の力でどうなるものではありません。政治が、政策の優先順位を誤らず、国民が、公平という名に隠された不条理を見抜き、義務と権利(負担と給付)と言う民主主義の原点をお互いに確認できれば、年金、医療、介護の充実した「安心社会」の実現は、あながち夢ではないと思います。一刻も早い政治の決断が待たれます。

第188話 -平穏な1年を祈ります- 平成23年2月1日

 昨年は気候変動の激しい1年でした。日本の誇る豊かな四季が崩れるのではと思う程(ほど)、気温の変化に苦しめられましたが、特に夏の暑さは異常でした。そして暖冬も予想されたこの冬は、クリスマス寒波が年明けまで続き、関東など一部の地域を除いて大荒れの冬となりました。
 私は、今年も桜山展望台で初日の出を拝みましたが、近年にない感動の御来光でした。空気は澄んで遮る雲もなく、ぎらぎらとたぎる太陽の躍動は、息を飲む美しさで、自然の驚異を実感した一瞬ですが、今年は穏やかに太陽の恵みを与えて欲しいものです。
 入間市は市制施行45周年となりますが、先人が、未来に夢を托(たく)して「香り豊かな緑の文化都市」建設に取り組んだ歳月は、都市基盤の整備や活発な市民活動など都市の風格を確かなものとしています。そして、時代や人が変わっても、入間の豊かな自然を次世代に引き継ぎ、子や孫たちが「愛」を感じるような入間市とするため、愚直を恐れず、改革に翻弄(ほんろう)されることのないまちづくりに、汗を流したいと思います。今年もよろしくお願いいたします。

第187話 政治-終りなき闘い- 平成22年12月1日

 政治という「統治」の形は、社会の構成員である民衆の力によって息吹きを与えられ、時に崩壊の道を辿(たど)り、現在の世界の大勢は、「間接民主制 (代議制)」をより良き政治制度として選択したかに見えます。
 政治は「理念的完成」より「幸せの満足度」が求められ、その意味からすれば、どのような政治制度であれ「ベスト(完全)」は望むべくもなく、「ベターもしくはグッド(よりまし)」な政治に満足する以外に「術(すべ)」はないのかも知れません。
 アメリカのオバマ大統領が「チェンジ(変革)」を訴え、「イエス ウィー   キャン」と絶叫して大統領選に圧勝したのは僅(わず)か2年前ですが、大統領の経済政策等への失望・不満から、爽(さわ)やかな弁舌で語られる政治理念にも国民は耳を貸そうとしません。その結果、上・下両院の中間選挙で、与党民主党が「歴史的敗北」を喫しました。
 日本の民主党も、政権交代を果たしたものの、1年余りが経過した現在、国民の期待した程にその成果は見えず、むしろ混迷の度が深まったとも指摘されています。政治は生き物、期待もさまざま、来年がより良い1年となるよう  がんばりたいと思います。
 市民の皆様、よいお年をどうぞ。

第186話 - 暑夏を送って、思う - 平成22年11月1日

 今年の夏は、最高気温が30度を超える真夏日が71日を数え、過去最高と報道されました。熱帯夜、猛暑日も記録を更新し、日本列島がすっぽり熱帯域に入ったような夏でしたが、気候変動の兆候は冬から現れ、異常気温は続いていました。
 昔から、暑さ寒さも彼岸までと言われ、私たちは、先人の生活体験から導き出されたこの言葉を信じ、生活習慣の中に取り入れてきましたが、今年は、9月22日に30度を記録し、先人の知恵も自然の猛威の前に屈したかにみえました。しかし、翌「秋分の日」は20度前後と見事に「格言」の正しさを立証し、その後は20度台で推移しています。
 「彼岸」に在る先人達は、此岸(しがん)の狼狽(ろうばい)ぶりに、「この青二才奴が」とあざ笑っているかどうかは別として、自然の摂理は人知の遠く及ばざることを悟り、謙虚に自然に向き合い、教えを乞う姿勢が大切だと思います。幸い、長期の気象予測によれば、来年は今年のような猛暑にはならないだろうとのことですが、備えあれば患(うれ)えなしの言葉のとおり、充分な心の備えをもって日々の生活を送ることが肝要と思います。
 そう、猛暑も天災、忘れないうちにやって来ることを覚悟すべきです。

第185話 - 再び「大相撲」考 - 平成22年10月1日

 6月13日に市内の小学生約千人が参加して、16回目のわんぱく相撲入間大会が行われました。(社)入間青年会議所の現役、OBメンバーを中心とする「入間わんぱく相撲推進会議」が実行主体となり、これに小学校関係者や保護者などの熱い支援が加わり、元気な小学生が土俵狭しと熱戦を繰り広げました。
 この大会には、(財)日本相撲協会貴乃花親方も毎年早朝から参加いただき、親方ご寄贈の優勝旗を手交するなど、競技終了まで子どもたちを励まし、大会を盛り上げていただいています。このように、相撲を通じ青少年の健全育成に多くの人々が努力している時、相撲界では、現役力士などによる野球賭博事件が発覚しました。
 多くの国民に夢と希望、元気を与えてくれる大相撲ですが、土俵外で泥まみれとは悲しいことです。協会はファンあっての大相撲を肝に銘じ、伝統は守りつつも、革新の協会像をしっかりと示し、「暴力団等排除宣言」に象徴される、明るくクリーンな「土俵づくり」に努めて、再生の道をしっかりと歩まれることを願います。入間の子どもたちを、これ以上悲しませないでください。                                               (9月8日記)

第184話 ‐「敬老」は何処へ‐ 平成22年9月1日

 日本人は古くから、「向う三軒両隣」を最小の生活圏として助け合い、時に小競り合いを繰り返しながら、家庭(家族)や地域を守ってきました。このような生活様式は外国人からも称賛され、日本人の国民性の高さが評価されました。
 時代は移って平成の日本は、荒涼として、刺刺(とげとげ)しい雰囲気が漂い、人の温もりは失われつつある国になっています。深刻化する児童虐待、東京都の最高齢者に名を連ねる方が数十年前から所在不明であったり、同じ東京で、ミイラ化した父親と30年以上も過した家族があったりと、信じられない問題が起きています。
 これらの問題の多くは、第一義的には、家族を含めた人間関係の稀薄化(きはくか)、地域社会の「絆」の劣化などによって生じた問題と言えますが、それと同時に、住民基本台帳等の適正管理の任にある行政も、個人情報保護等に関する懸念から、積極的対応に躊躇(ちゅうちょ)がなかったかなどについて反省する必要があります。なお、入間市では、35人を数える100歳以上の方の所在不明の問題はありません。
 少子高齢社会の進行は、その流れを加速しています。家庭、地域社会、行政が一体となって「人の絆」の再生と「助け合いの心」の復活を目指して、努力しなければならないと思っています。今月は敬老月間です。

第183話 - 「災害列島」を生きる - 平成22年8月1日

 日本は、四季の豊かさにおいては、世界有数の国と思います。細長い列島を峻嶮(しゅんけん)な山岳地帯が貫き、平野部は海沿いに展開して人々の生活を支えています。これらの地形は、四季の移ろいを色濃いものとし、活火山帯の存在は、温泉の湧出(ゆうしゅつ)によって人々に自然の恵みを与えています。
 このように、自然の宝庫と呼べる日本ですが、その豊かさの代償として、地震、台風、豪雨などの自然災害に苦しめられています。大地震の発生は予断を許さず、スコールを思わせる豪雨は、常識(時間雨量50ミリメートル)をはるかに超える物凄さ(ものすごさ)です。
 今年も宮崎県や広島県などで大きな豪雨災害が発生していますが、入間市でも、一部地域で床上浸水などの被害が発生しました。幸い消防団などの活動によって、大きな被害に至らなかったことは有り難い(ありがたい)ことです。
 間もなく台風シーズンを迎えます。台風の大型化も指摘されておりますから、可能な限りの準備と的確な状況判断に努めていただき、行政も総力を挙げて対策を講じますので冷静な行動をお願いしたいと思います。
 今月22日(日)は、全市を挙げて防災訓練が行われますので、多くの市民の方々の参加をお願いいたします。

第182話 - 変動・変化の中で - 平成22年7月1日

 今年の自然界は、年明けから気候変動が続いています。2、3月頃に夏日のような気温に驚かされ、5月というのに真冬の気温に震え上がりと、自然の不思議を存分に学習させられました。このような気象の変化は、農作物に大きな影響を与え、最も被害を受け易い茶生産者の皆さんは、茶園管理に大変な苦労をされたようです。しかし、「味は狭山」の唱のとおり、緑茶の仕上りは順調のようですから、是非ご愛飲いただきたいと思います。
 気候の変動に合わせるかのように、政界にも大波が押し寄せています。「政治とカネ」「普天間問題」などを要因として、鳩山総理が退陣し、菅氏が新総理に就任しました。日本の顔として、この国を引っ張る最高責任者の、短期間の交代が続いています。国民にとっても、諸外国との信頼関係の構築という視点からも、決して好ましいことではありません。菅内閣には頑張っていただきたいと思います。
 気候が変動し、政治も大きく変わる中で、私達は自然の変化に敏感、迅速に対応する術(すべ)を磨き、政治の本質を見抜く力を養って、変化という荒波から身を守り、孫子の代に、心豊かな社会を遺せるように努力すべきと思います。

第181話 -君子 その言葉の重み- 平成22年6月1日

 この原稿は締切りの関係で5月5日、子どもの日に書いています。昨4日、鳩山総理は、懸案となっている米軍普天間基地移設問題の解決を図るため、沖縄県を訪問しました。「最低でも県外」に移すことを約束して、約半年間努力されてきたようですが、沖縄で断片的に示された腹案なるものは、前政権の日米合意案を若干手直しをし、基地機能の一部を鹿児島県徳之島に移すというものでした。
 全く期待に反する総理の説明内容に県民は怒り、失望し、政治不信は極度に達しています。耳に心地良い言葉を連発して日米合意案を覆し、県民の期待を大きく膨らませた総理の言動は、単なるお詫びの言葉で済む問題ではありません。
 「県外移設」の約束は「党としての公約ではなく、私自身の発言」であり、「海兵隊の勉強を深めれば深める程、抑止力の維持の関連性についてその重要性の認識が強くなった」と言うに至っては、党の代表、一国の総理の見識としては余りにもお粗末と言わざるを得ません。
 論語に「巧言令色鮮(すくな)し仁」とありますが、総理の言葉からこれを連想することは、悲しいことです。

第180話 -命 とは- 平成22年5月1日

 先日、NHKスペシャル「呼吸器を外して下さい」という番組が放映されました。「閉じ込め症候群」と呼ばれる難病と闘うAさん(氏名は公表されている)は、意識はしっかりしているものの、生きる機能のほぼ全てを奪われ、呼吸器、唯一の意思伝達手段としてのセンサー、点滴で「生命(いのち)」を保っています。漆黒の闇の中で向き合っている「生きる恐怖」は、私達の想像を超えて、凄烈なものと思います。
 「完全な閉じ込め状態になったら死なせて」と奥さんに訴えるAさんを、ノンフィクション作家柳田邦男さんが尋ね、「命は一人のものではなく、家族と共有しているのでは(要約)」と語りかけます。Aさんは柳田さんの好意に感謝しつつも、「命は自分のもの、家族のために生きろと言われてもわからない(要約)」と字幕が流れます。
 命は地球の重さに例えられますが、Aさんの闘いを思うにつけ、軽く「命の尊厳」などを口にする、自分自身の浅薄さを恥じます。そして、絶望的な「閉じ込め」が進行する中で、なおも命の意味を問い続けるAさんの強靱な心に、お慰めする言葉は不要かも知れません。だからこそ、時に、命について瞑想することも、大切かと思います。

第179話 -新年度国家予算に思う- 平成22年4月1日

 平成22年度国家予算(案)が衆議院を通過して参議院に送られ、新予算の年度内成立が確定しました。不況の続く中、年度内成立は安心の材料であり、その政策効果に期待したいと思いますが、子ども手当などに象徴される背伸び予算は、後年度予算の財源問題などに多くの不安を抱かせる予算と言わざるを得ません。
 鳩山政権は、圧倒的多数の有権者の期待と支持を受けて誕生しましたが、「政治とカネ」問題などに躓(つまづ)いて支持率の低下が続いています。国民の次善の選択(自民に失望し、民主を選択)を読み違え、「数による独善の政治」を続けるならば、国民の失望は深まるだけと思います。国民の願いは、クリーンでオープン、誠実と信頼が実感できる政治であり、政策について説明を尽くし、理解を求め、結果責任を常に明らかにすることが国民の期待に応える政治であると思います。
 税収の伸びが期待できない時代に、今後、マニフェスト実現のためには13兆円を超える恒久財源が必要とも言われていますが、この莫大な財源をどこに求めるのか明らかにされていません。有権者の責務として、その財源対策に関心を持ち、チェックすることが大切と思います。
(3月8日記)
 

第178話 -大相撲- 平成22年3月1日

 相撲は「国技」と言われています。「野見宿禰(のみのすくね)」物語は別として、その歴史は「奈良、平安時代、天皇は毎年7月宮庭で、諸国から召し出した相撲人(すまいびと)の取組を観覧した【広辞苑】」とあります。力士は、天皇の御前ということから「まわし」は勿論(もちろん)、狩衣(かりぎぬ)、袴(はかま)を着けて相撲を取ったということです。
 このように古典的、伝統的格闘技である相撲は、様式美とも表現される相撲の形、それは単に、鍛え上げられた肉体の美しさや強さのみならず、技の美事(みごと)さ、堂々の立居振舞など、超人が醸し出す心技体融合の気を求め続けた歴史であり、その上に「今」があると思います。   先人の汗と涙で築き上げられた相撲界ですが、近代化の遅れが指摘され、急増する外国人関取の文化意識のずれにどう対応すべきかなど、難問が山積する中で、朝青龍関が度重なる不祥事で引退に追い込まれる一方、協会理事選挙では、絶望視されていた貴乃花親方が当選しました。横綱の引退は残念ですが、若い親方の理事就任を契機として、格式と良識を併せ持つ相撲協会、強さと美しさ、品格を備えた力士の活躍によって「国技」が守られることを期待したいと思います。

第177話 -命を守る予算 期待と不安- 平成22年2月1日

 鳩山政権が誕生して、「変化」に期待する多くの国民が、新政権の目指す「新しい政治」への政策転換をじっと見つめていますが、政権もまた、その期待に応えるために努力をしています。コンクリートから人へのスローガンのもとに、事業仕分け作業を通じての予算編成過程の一部公開など、分かりやすい政治を演出していますが、何よりも、50年に及んだ自民党中心政権のしがらみを断ち切り、政官業の癒着構造を打破し、「政権交代」を国民に印象付けようとする姿勢に期待したいと思います。
 そのような中で、2010年度予算編成大綱が発表されました。総理は「命を守る予算」と総括していますが、マニフェストにこだわり、やり繰り算段の大盤振る舞い、の感なきにしもあらずです。入るを量(はか)らず「全ての道はマニフェストへ通ず」とばかりの予算編成は、将来の負担増への懸念を強くします。
 成熟(?)した民主主義は、「大衆迎合政治」への道をたどると言われますが、マニフェスト第一主義の政治は、大衆迎合への甘い誘いであり、今こそ、「負担と給付」あってのマニフェストであることを再認識してほしいものです。

第176話 -動き出した変革の政治- 平成21年12月1日

 今年も余すところ1ヶ月足らずとなりました。日本も含めて主要国は、世界同時不況の影を色濃く引き摺〔ず〕り、政治をも巻き込んで激しく揺れ動いた1年でした。経済不況の引き金を引いたアメリカでは、1年前大統領選が戦われ、変革(Change)を訴え、やればできるんだ(Yes we can)を合言葉にオバマ氏が当選しました。
 民主党を基盤とするオバマ政権は、船出から1年、高らかなドラの音も消え、横波、向い風に翻弄〔ほんろう〕されて、少し迷走気味にも思えます。核廃絶宣言で拍手喝采〔さい〕を浴びた大統領ですが、平和外交は思惑どおりに進まず、内政では、失業率の上昇、医療保険改革問題などで窮地に立たされています。
 一方日本でも、8月の衆議院選で民主党が圧勝し、鳩山政権が誕生しました。「友愛」の政治理念を高く掲げ、「コンクリートから人へ」の転換を訴えて、脱官僚、政治家主導の政治の実現を目指して頑張っています。しかし、総理の「マニフェスト」「私が決めます」の発言、演説等で多用される「国民の皆様」の言葉は、いささか耳につきはじめました。軽い言葉は、時に「巧言令色鮮〔すく〕なし仁」の謗〔そし〕りなきにしもあらずですが、「真〔まこと〕の仁者」の政治を望みたいものです。よいお年をどうぞ。

第175話 -どうなるか長寿医療制度-(後期高齢者医療制度) 平成21年11月1日

 日本は皆保険国家で、全ての国民は、国民健康保険(国保)か被用者保険に加入し、健康と医療が保障される制度が確立しています。この社会保障制度は、相互扶助の理念を基本とし、医療費等については被保険者保険税(料)、患者負担、公費(税)等によって賄われています。
 今、34兆円と言われる総医療費を中心として、医療制度のあり方の議論が続いていますが、特に、75才以上の方(後期高齢者と呼称)の医療費が総医療費の約30%を占めることから、平成18年に健康保険法等の一部を改正し、新たに、後期高齢者医療制度を創設、平成20年度から実施されました。
 この制度は、10年以上の歳月をかけて議論し法制化されましたが、「後期高齢者」「75才以上」の定義も含めて、うば捨て制度、高齢者差別等の批判の声が上ったため、長寿医療制度と名称を変え、保険料の軽減策等も講じながら運用されています。
 鳩山政権は、この制度を廃止するとして検討を進めていますが、どのような制度を構築するにせよ、増加を続ける医療費をどう適正化し、誰がどのような形で負担するのかの冷静な議論が先決で、拙速の愚は避けるべきと思います。

第174話 政権交代  平成21年10月1日

 8月31日の各紙朝刊は、民主党圧勝308議席、を大見出しで伝えていました。歴史的勝利、革命的の記事も見られたとおり、多くの国民の政権交代への期待が、地殻変動を引き起こす程に強かったということでしょう。それと共に、小選挙区比例代表並立制選挙が極度に機能したとき、政治は混乱し、安定した国家経営を破綻(はたん)させかねない制度であることも思い知らされました。
 このような選挙結果をもたらした’09総選挙ですが、その特徴は人より政策、政策より党という政党選択が前面に出た選挙ということです。このことは、このような政治体制を生み出した有権者も、鋭い政治感覚で政治を監視し、その信頼性、実行力を見極め、それを検証する義務のあることを認識する必要があると思います。
 いずれにしても、脱官僚政治を掲げる新政権ですが、ムダを省くためにムダを重ね、新しきを求めた筈(はず)が、いつか来た道とならぬよう期待したいと思います。そして政治の重みは1億の民の重みであり、政権が軽くなれば民は吹き飛ぶことを思うとき、新政権の誤りなき舵取(かじとり)を祈るや切、の心境です。

第173話 日食の夏 -備えあれば- 平成21年9月1日

 じめじめとした梅雨がやっと明け、焼けつく真夏の太陽を浴び、汗まみれで仕事に精を出す姿を思い描きましたが、今年もまた、梅雨の実感のないままに聞く梅雨明け宣言に首を傾(かし)げ、やっと弱々しい太陽を喜んだのも束の間、早くも9月を迎えました。
 この間、西日本方面を中心として豪雨災害が続き、多数の尊い人命が奪われました。つい先日、東海地方を襲った地震では、崩れた書籍の山に埋もれた女性の死も伝えられました。地震予知は不可能と言われていましたが、今回も予知はできませんでした。気候変動の影響は、色々な形で人々を苦しめていますが、人知の及ばぬ現象もあれば、人間の努力によって被害を最小限に食い止めることもできます。
 今年の夏は、沖縄方面などで皆既日食が観測されました。打ち続く豪雨災害、地震、日照不足の夏は、先人達が恐れ戦(おのの)いた「天変地異」の不吉さを思わせます。これから台風シーズンを迎えます。科学万能の時代であっても自然を畏(おそ)れ、自らの生活を省みて深く考え、時に応じて災禍に勇気をもって立ち向う冷静さも必要かと思います。備えあれば憂いなし。

第172話 シュトルチーナさん 平成21年8月1日

 入間市は、ドイツ連邦共和国バイエルン州・ヴォルフラーツハウゼン市(以下ヴォ市)と姉妹都市提携を結んで22年が経過しようとしています。それは、ベルリンの壁崩壊2年前のことでした。当時、両市民の間には、1万1千粁(キロ)の隔たりを懸念する声もありましたが、22年間の両市民の交流は途絶えることもなく、密度の濃い草の根活動が展開されました。文化、スポーツ交流、青少年異文化体験交流事業等の推進は、国際化の進む時代背景の中で益々その重要性は増してくるものと思います。
 これらの交流の歩みを思うとき、ヴォ市の職員として、交流事業の中心的役割を果たしておられるペーター・シュトルチーナ氏を忘れることはできません。「入間は第2のふる里です」と日本語で叫び、自宅には日本と入間を紹介するコーナーを設けて日本酒を愛飲する彼は、交流事業の象徴と言えます。
 その彼が春の叙勲で、旭日双光章を受章されました。この年末に定年を迎えるシュトルチーナさんには「ありがとう、ご苦労様」の言葉を贈り、これからの交流事業が若い世代に引き継がれ、世界平和の掛橋として更に充実することを祈りたいと思います。

第171話 永遠の闘い 平成21年7月1日

 人類の歴史は、ウィルスとの闘いの歴史でもあります。姿を変えて襲いかかるウィルスに対し、人類の英知を結集して応戦し、免疫ワクチン、抗ウィルス薬の発明発見などによって危機を乗り越えました。「種痘のジェンナー」「結核菌のコッホ」「破傷風菌の北里」など数多くの人々の献身的努力によって病気の恐怖、苦しみから解放されました。
 今、科学万能の時代になっても、解明の進まない病気が人間を苦しめていますが、最も恐れられているウィルスの一つとして鳥インフルがあります。約10年前に、鳥から人への感染が確認され、人から人への感染も時間の問題としてその対策の議論が進んでいます。その矢先、メキシコで豚インフルの変異による「新型インフルエンザ」が発生し、人から人への感染が確認されたと発表されました。各国で感染拡大も続いていますが、季節性インフルと同様の感染部位はのど、呼吸器に止(とど)まるウィルスということで、殆どの感染者は回復しています。
 私達は徒(いたず)らに騒がず恐れず、されど侮らず、ワクチンなどの確保に期待しつつ、手洗い、うがいなどの励行で、人類の強敵新型ウィルスと対峙(たいじ)することが大切と思います。

第170話 介護保険制度の課題 平成21年6月1日

 介護保険制度が発足して10年目を迎えます。人口減少、高齢社会の切り札として、多くの議論がある中でスタートした制度ですが、10年の歳月を経ても難問山積の状況に変わりはありません。
 この制度は、施設介護中心の福祉から、在宅介護への転換を目指して動き出しましたが、家庭介護の困難さなどを理由として施設介護の要望が強く、デイサービス、ショートステイなどの施設不足が指摘されています。また、核家族化の影響は、1人暮らし高齢者の介護、高齢夫婦間の老々介護の現状に大きく影を落としています。これに加えて、認知症を発症する高齢者の増加により、給付申請手続きなどを含め、制度利用の意思確認の難しさも指摘されています。
 一方、介護現場で働く職員も、介護報酬が、必ずしも労働の質、量に応じたものとは言い難いとしてその現状に失望し、離職する者もあって、マンパワー不足が指摘されています。
 これからも、負担と給付のあり様を議論し、税導入の是非も含めた抜本的対策の確立を求めつつ、地域社会の連携と絆を強めて「地域力」の機能する社会の構築に努め、この介護保険制度の、安定的、持続的な運営が図られるよう努力しなければならないと思います。

第169話 求められる政治の姿 平成21年5月1日

 新聞、テレビなどで伝えられるニュースは、景気悪化、倒産、失業等の気の重くなるニュースばかりです。そして4月5日、北朝鮮は、人工衛星を打ち上げ、衛星は周回軌道に乗ったと発表しました。その後の検証によれば、人工衛星に名を借りたミサイルの発射であって、日本から東北地方の上空を通って日本から2~3000kmの太平洋上に落下したとのことです。地上への落下物もなく、大山鳴動、事なきを得ましたが、独裁国家の独善的暴挙には、〝怒〟の一字あるのみです。
 内憂外患(ないゆうがいかん)、難問山積の日本にとって、国民に勇気と希望、元気を与えられるのは、「信頼される政治」以外のなにものでもありません。政治が有効、迅速に機能し、たとえ国民に痛みを伴う政策であっても、説明責任を果たす政治こそが、国民の待望する政治の姿ではないでしょうか。
 民主政治は、世論を尊重し、敏感に反応すべきは当然でありますが、それのみをもって良質な政治は生まれません。成熟した民主政治は、とかく大衆迎合政治の道をたどると聞いたことがありますが、日本が、そのような国家にならないことを願っています。

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